長野原町防空監視哨(聴音壕)実験をやりました!!
ロシアがウクライナに侵攻してから700日あまりが経過しました。平和な日本にいると見落としがちですが、現代にも世界ではこうした争いはありふれています。日本もたった80年前は第二次世界大戦の最中でしたよね。その遺跡がこの長野原町にも残っています。それが長野原町防空監視哨(ぼうくうかんししょう)、いわゆる聴音壕(ちょうおんごう)です。スーパー大津の東の畑の中にぽつんとたたずんでおり、一見しただけでは戦争の時に使われていただなんて思いもしないような風貌です。
この聴音壕には当時10代の子どもたちが入り、敵の戦闘機の数や方角を聞き分け、軍に報告していたようなんです。しかしこれを聞いて「本当にそんなことができたのか?」という生徒からの疑問から今回の実験は生まれました。
校庭で実験するはずが、先週の雪の影響でぬかるんでおり断念…。代わりに体育館で実施することになりました。上の写真のように段ボールを被ることで、聴音壕を再現しします。体育館の四隅いから教員に指示された場所の生徒たちがブザーを鳴らし、その方角と数を聞き分けました。生徒たちは悪戦苦闘しながらもワイワイ楽しみながら実験に参加してくれました。
生徒の予想はこんな感じでした。65%以上が聴音壕は敵国の戦闘機を早期発見するにあたって役に立っていたと予想しています。実際、今回の実験において方角に関しての正答率は約35%であったものの、数に関しては73%という正答率をたたき出していました(!)。この結果を生徒はどう捉えるのでしょうか。
彼らはこのように結論付けました。識別できていた側としてはやはり「数の正答率が高い」ことを挙げており、さらに「訓練すれば全問正解できそう」といった意見がありました。一方で識別できなかった側をみると、「100%の正答率でなければ意味がない」や「数だけ分かっていても方角が分からなければ対応しようがない」といった意見が見られました。この実験をしようと思った私の予想を超えて生徒が真剣に考察している姿を見て、本当にやって良かったなあと心の底から思いました。
私はこの実験に正解はないのだと思います。段ポールを被ったとはいえ、本物の聴音壕とは材質もサイズも違うし当時はもっと静かだったかも知れません。なのでこの実験は理科の先生にはとても見せられないものです。しかし、こうして自分の通っている高校の近くにある遺跡について真剣に考える機会は非常に貴重だし、生徒たちが地域のものについてどう感じるか・どう考えるか・どう向き合うかが本当に大切だと思います。今後もこうした地域の教材を活かした授業をやっていきたいなあと逆に生徒たちが私に考えさせてくれた授業でした。
宮下
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